「職務経歴書って、何をどこまで書けばいいんだろう」
転職活動を始めると、最初にぶつかる壁がこの書類です。テンプレートを埋めてみたものの、これで本当に伝わっているのか自信がない。そんな人も多いのではないでしょうか。
私は今、オンライン教育会社でマーケティングとセールスの責任者をしていて、書類選考や面接をする側に立っています。毎回たくさんの職務経歴書を見る中で、「この人に会ってみたい」と思う書類と、正直に言って見送ってしまう書類には、はっきりとした違いがあると感じています。
この記事では、書類選考をする側の目線から、職務経歴書でどこを見ているのか、会いたくなる書き方と落ちやすい書き方、そして私自身が転職したときに工夫したことをお伝えします。
職務経歴書は「経歴の一覧」ではなく「会ってみたくなる資料」
最初に押さえておきたいのは、職務経歴書の役割です。
職務経歴書は、これまでの職歴をただ並べる書類ではありません。採用担当者に「この人に会って、もっと話を聞いてみたい」と思ってもらうための資料です。
そう考えると、書き方は大きく変わります。全部を細かく書く必要はありません。むしろ、相手が「ここをもっと聞きたい」と思うポイントをわかりやすく見せることが大切です。
採用担当が職務経歴書で最初に見ているところ

まずは「パッと見た印象」
私が職務経歴書を開いて最初に見るのは、実は中身よりも、パッと見たときの印象です。
- 改行がきちんとされていて、読みやすいか
- 段落や行頭がそろっているか
- 表の欄がきちんと埋まっていて、空白だらけになっていないか
履歴書の写真も、明るい表情か、写真自体が暗くないかを見ています。
これは、面接と同じです。面接で第一印象が大事なように、書類も第一印象がとても大事です。そして、書類の整え方には、その人の仕事の進め方が表れると思っています。空欄が多いまま出してくる人は、仕事でも「ここまででいいや」と途中で止めてしまうのではないか。そう感じてしまうのです。
逆に言えば、ここは中身の実力に関係なく、誰でも今日から改善できる部分です。ここで損をするのは、本当にもったいないことです。
提出する前に、一度スマホやパソコンの画面で全体を表示して、少し離れて眺めてみてください。文字が詰まりすぎていないか、行頭がそろっているか、空いている欄がないか。書いた本人が「読みやすい」と感じられない書類は、初めて読む人にとってはなおさら読みにくいものです。
その次に、職歴の流れと数字
第一印象を見たうえで、中身を見ていきます。
- これまでどんな仕事をしてきたか(職歴の流れ)
- どんな成果を出してきたか(特に数字)
- 自己PR
- それぞれの会社での在籍期間
特にどこか一つだけを見る、というよりは、全体を見て「この人がどんな人なのか」をつかもうとしています。ただその中でも、営業やマーケティングの職種であれば、数字は必ず見ます。営業なら売上や達成率、マーケティングならどれくらい売上を伸ばしたのか、といった数字です。
職務経歴書の基本の構成
書き方の前に、職務経歴書の基本の構成を確認しておきましょう。決まった形式はありませんが、一般的には次の順番で書くと読みやすくなります。
- 職務要約:これまでのキャリアを3〜5行でまとめたもの。採用担当者が最初に読む部分なので、どんな経験を持ち、何が強みなのかが一目でわかるように書く
- 職務経歴:会社ごとに、在籍期間、所属部署、担当業務、成果を書く。新しい職歴から順に書く「逆編年体」が読みやすい
- 活かせる経験・スキル:応募先の仕事で活かせるスキルや資格、使えるツールなど
- 自己PR:自分の強みを、それを裏付けるエピソードとあわせて書く
この中で一番大事なのは、最初の職務要約です。忙しい採用担当者は、まずここを読んで、続きを読むかどうかを判断します。職務要約だけで「この人の経験と強み」が伝わるように書きましょう。
分量は、A4で1〜2枚が目安です。長く書けば伝わるわけではありません。むしろ、応募先の仕事に関係する経験を厚めに、関係の薄い経験は短めにと、メリハリをつけることが大切です。応募する会社ごとに、どの経験を前に出すかを少しずつ変えるだけでも、伝わり方は大きく変わります。
「この人に会ってみたい」と思う職務経歴書
私が「この人に会ってみたい」と思うのは、成果が明確に書かれている職務経歴書です。
数字で語れるのは、実際に実績を出してきた人だけです。そして数字が書いてあると、自然と「この数字を出すために、どんなことをしたんだろう」と気になります。その「どうやったのか」を、面接で深掘りして聞いてみたい。そう思わせてくれる書類が、会ってみたくなる職務経歴書です。
つまり、職務経歴書の数字は、面接での会話のきっかけにもなります。自分が話したいエピソードにつながる数字を書いておけば、面接でその話を引き出してもらいやすくなります。
ただし、エンジニアやデザイナーのように、成果を数字で表しにくい職種もあります。その場合は、どんなものを作ったのか、どんな課題をどう解決したのかを、具体的に書くことで同じ効果が期待できます。
書類の段階で見送ってしまう職務経歴書

反対に、書類の段階で見送ってしまうことが多いのは、次のような職務経歴書です。
- 段落がずれている、改行がなくて読みにくい
- 誤字脱字がある
- 数字が一つも書かれていない
- 内容が薄い
- 短い期間での転職を何度も繰り返している
この中で特にもったいないのが、内容が薄いケースです。たとえば「リーダーをしていました」とだけ書いてあって、リーダーとして何をしていたのかが書かれていない。これでは、どんな力がある人なのかがまったく伝わりません。
「リーダーをしていました」ではなく、「5人のチームのリーダーとして、メンバーの目標設定と週1回の面談を担当し、チームの達成率を◯%から◯%に改善しました」と書けば、それだけで伝わる情報量が大きく変わります。
数字を書くときのコツ
数字は、ただ書けばいいわけではありません。伝わる数字にするために、次の3つを意識してみてください。
- 比較の基準を書く:「売上1,000万円」より「前年比130%の売上1,000万円」の方が、すごさが伝わる
- 期間を書く:「新規契約50件」だけでなく、「半年で新規契約50件」と期間を添える
- 規模を書く:「チームで1位」なら、「20人中1位」のように母数を書く
自分では当たり前だと思っている数字でも、基準と期間と規模を添えるだけで、読む側にとってはぐっと具体的になります。
転職回数が多い人は「つながり」を書く
短い期間での転職を繰り返していると、どうしても「すぐ辞めてしまうのでは」と見られがちです。もし転職回数が多いなら、それぞれの転職に一貫した理由やテーマがあることを、職務要約や自己PRで伝えるのがおすすめです。「営業→営業企画→マーケティングと、一貫して『売れる仕組み』に関わる仕事を選んできた」のように、つながりが見えるだけで、印象は大きく変わります。
私が転職したときに工夫したこと

ここからは、私自身が転職活動をしたときの話です。
見た目を徹底的に整えた
まず意識したのは、先ほどお話しした第一印象です。書類も面接も、最初の印象が大事なのは同じだと考えていたので、見栄えのいい、読みやすい職務経歴書になるように整えました。
できるだけ数字で書いた
次に、成果をできるだけ数字で書くようにしました。
たとえば、社内のプレゼン大会で1位になったこと、営業目標の達成率、社内での営業成績の順位などです。そのうえで、その成果のためにどんなことをしていたのか、自分の強みは何なのかを、わかりやすくまとめました。
面接に「自己PR資料」を持っていった
もう一つ、職務経歴書とは別に工夫したことがあります。自己PRのプレゼン資料を2枚ほど作って、面接のときに持っていったのです。
書類の応募の段階では送らず、面接の場で渡しました。履歴書や職務経歴書には書ききれない、自分の強みや考えを伝えるためです。
この資料には、もう一つの狙いがありました。資料そのものが、「この人はプレゼン資料を作るスキルがある」「事前にしっかり準備ができる人だ」という証明になることです。会議でも商談でも、事前に準備する力は仕事の基本です。それを言葉で言うより、実物を見せた方がずっと伝わります。ちなみに、面接官にとっては予想外だったのか、資料を渡すと少し驚かれました。驚かせたらこっちのものです。
未経験の職種に応募するときの書き方
未経験の職種に応募するときは、「経験がないから書くことがない」と感じるかもしれません。でも、そんなことはありません。
ポイントは、これまでの経験を**「何をしたか」ではなく「何ができるようになったか」で分解して書く**ことです。
たとえば、営業からマーケティングに応募するなら、「新規開拓の営業をしていました」で終わらせず、「お客様の課題を聞き出し、提案内容を調整する力」「断られても改善を重ねて成果につなげる力」のように書きます。こうすると、職種が違っても、次の仕事で活かせる力が伝わります。
この考え方は、「30歳でインターンからやり直した話」でも詳しく書いています。
ケーススタディ:業務内容を並べただけのAさん
ここで、よくあるパターンを2つ紹介します。実在の人物ではなく、書類選考で起きやすい例をまとめたものです。
Aさんは、営業職からマーケティング職への転職を目指していました。職務経歴書には、担当エリア、扱っていた商品、営業の流れなど、日々の業務内容を細かく書きました。
ところが、数字も、そこから身についた力も書かれていなかったため、採用担当者には「営業をしていた人」という印象しか残りません。マーケティングでどう活かせるのかが伝わらず、書類選考で見送られてしまいました。
ケーススタディ:成果と身についた力で書いたBさん
Bさんも、同じように営業からマーケティングを目指していました。Bさんは職務経歴書に、「新規開拓で、年間目標に対して120%を達成」といった数字を入れ、そのために「顧客の声をもとに提案資料を改善した」ことを書きました。
さらに、その経験から身についた力として「顧客の課題を言葉にする力」を挙げ、マーケティングでどう活かしたいかまで書きました。面接では、その数字と工夫について深掘りされ、話が大きく広がりました。
2人の違いは、経験の多さではありません。成果と、そこから身についた力まで書いたかどうかです。
AIで職務経歴書を作るときのコツと注意点
最近は、AIを使って職務経歴書を作る人も増えています。採用する側から見ると、AIで作ったものかどうかは、なんとなくわかることがあります。
ただ、私はAIを使うこと自体は悪いことだとは思っていません。今の時代、使えるものは使えばいいと思います。
問題になるのは、内容が薄くなることです。AIに任せると、どうしても「コミュニケーション能力を活かして」「主体的に取り組み」といった、抽象的な言葉が並びがちです。結局、見られるポイントは同じで、書いてあることに信ぴょう性があるか、具体的に何をしてきたのかが書かれているか、です。抽象的なことばかりが並んでいれば、AIを使っていてもいなくても、評価は上がりません。
AIを使うなら、先に自分の経験や数字を具体的に書き出してAIに渡し、読みやすく整えてもらう使い方がおすすめです。AIへの頼み方のコツは「ChatGPTの仕事での使い方」でも紹介しています。
書類が通ったあとの面接対策や、転職エージェントの添削を活用する方法は、「転職エージェントの使い方」もあわせて読んでみてください。
まとめ:今日やること
職務経歴書は、「この人に会ってみたい」と思ってもらうための資料です。第一印象を整え、成果を数字と具体的な行動で書くこと。これだけで、書類の通り方は大きく変わります。
今日から、次のことをやってみてください。
- 今の職務経歴書を開き、改行・段落・空欄を見直して、読みやすく整える
- これまでの仕事の成果を、数字で書けるものから5つ書き出す
- その数字を出すために「何をしたか」を、それぞれ一文ずつ書き足す
- 「リーダーをしていた」のような一言で終わっている部分に、具体的な行動と結果を足す
- 面接で話したい強みを、スライド1〜2枚の自己PR資料にまとめてみる
書類の段階で伝わるのは、あなたのほんの一部です。だからこそ、その一部を「会って話を聞いてみたい」と思わせる形で見せてください。

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