「海外で働いてみたい。でも、英語も話せないし、海外での職歴もない」
そう思って、一歩目を踏み出せずにいる人は多いと思います。
私が30歳でフィリピン・セブ島の会社に入ったとき、英語は日常会話にも自信がないレベルでした。それでも、2社から内定をもらい、今も同じ会社で働き続けています。現在はマーケティングとセールスの責任者として、採用をする側にも立っています。
この記事では、未経験から海外就職を目指す人に向けて、私が実際にやった仕事の探し方と入社までの流れ、事前に準備しておきたいこと、そして採用する側から見た「海外で活躍できる人」の特徴をお話しします。
未経験で海外就職はできる?最初に知っておきたい現実
結論から言うと、未経験でも、英語に自信がなくても、海外就職はできます。
ただし、どの国でも、どんな仕事でもできるわけではありません。大事なのは、「未経験の人を受け入れてくれる国や働き方」を選ぶことです。
たとえば私が働くセブ島には、日本人向けの英語学校や、日本の企業の拠点がたくさんあります。そうした会社の中には、英語を学びながら働けるインターンという形で、日本人を受け入れているところが少なくありません。英語が完璧でなくても、「働きながら英語を身につけたい」という人にとっては、入り口が開いている環境です。
逆に、英語が話せることや専門スキルが前提になる国や職種では、未経験からいきなり入るのはハードルが高くなります。まずは自分が入りやすい場所から始める。これが、未経験から海外就職を目指すときの現実的な考え方です。
未経験から海外就職を目指す主なルート
海外で働く方法は、大きく分けると次のようなものがあります。
- 現地採用:海外にある会社に、現地のスタッフとして直接雇われる
- インターン:働きながら学ぶ形で入社する。語学学習とセットになっていることも多い
- 駐在:日本の会社に入社して、海外の拠点に派遣される
- ワーキングホリデー:協定のある国で、一定期間、働きながら生活する
駐在は、日本の会社でまず実績を積む必要があるため、未経験からすぐに目指すのは難しいルートです。未経験の人が現実的に狙いやすいのは、現地採用かインターンだと思います。
私の場合は、インターンとして入社しました。給与は出ない契約でしたが、そのかわりに1日4時間の英語レッスンと、4時間のマーケティングの仕事をセットにしてもらいました。お金よりも、英語とマーケティングを学ぶ時間を取りたかったからです。インターンを選んだ理由は、「30歳でインターンからやり直した話」で詳しく書いています。
私が海外就職したときの流れ

ここからは、私が実際にどうやって会社を探し、入社まで進んだのかをお話しします。
セブ島の求人サイトで「マーケティング」に絞って探した
使ったのは、セブ島の求人を紹介している「セブポット」という求人サイトです。転職エージェントではなく、自分で求人を探して応募する形でした。
私の目的は、英語とマーケティングを身につけることでした。そこで、サイトで「マーケティング」と検索し、マーケティングを学べる会社や、マーケティングの部署がある会社に絞って探しました。目的がはっきりしていたので、求人を選ぶ基準も迷わずに済みました。
2社に応募して、2社から内定をもらった
最終的に、2社から内定をもらいました。
1社目は、今働いている会社です。面接は2回で、1回目はマーケティングのマネージャー、2回目は代表との面接でした。2人ともセブ島にいたのですが、日本に来るタイミングに合わせて会ってもらい、どちらもカフェでの対面の面接でした。面接から内定までは、2週間ほどだったと思います。
もう1社は、セブ島にある広告運用の会社でした。こちらはオンラインの面接が1回と、東京・新宿のオフィスでの対面の面接が1回。こちらも、2〜3週間ほどで内定をもらいました。
どちらからも「来てほしい」と言ってもらえましたが、最終的には、英語の学習時間をしっかり確保できる条件を組んでもらえた今の会社に決めました。
面接は日本語だった
意外に思われるかもしれませんが、面接はすべて日本語でした。
当時の私の英語力は、日常会話にも自信がないくらいです。それでも問題にならなかったのは、セブ島の会社の多くが「働きながら英語を勉強できる」という前提で、日本人を採用していたからです。英語力そのものよりも、何をしたいのか、どれくらい本気なのかが見られていたのだと思います。
英語に自信がない人こそ、こうした「学びながら働ける」環境から始めるのは、十分にありな選択肢です。
海外の求人を選ぶときにチェックしたいこと
私の経験も踏まえて、未経験から海外の求人を選ぶときに確認しておきたいポイントをまとめます。
- 何が身につく仕事か:職種名だけでなく、実際にどんな業務を任されるのかを確認する
- 給与と待遇:給与の有無や金額、住居の補助、保険などを確認する。インターンの場合は特に、どこまでが会社負担かを確認しておく
- 語学学習のサポート:英語のレッスンや学習時間が用意されているか
- 一緒に働く人:日本人スタッフと現地スタッフの割合、上司はどんな人か
- 契約期間とその後:何年の契約か、インターンから社員になる道があるか
この中で特に大事なのは、最初の「何が身につく仕事か」です。私が「マーケティング」で検索して求人を絞ったのも、ここを外さないためでした。海外にいる期間は、思っているよりあっという間に過ぎます。その時間で何を持ち帰れるかを基準に選ぶと、後悔の少ない選択ができます。
条件で気になることがあれば、面接の段階で遠慮なく聞いてかまいません。私自身、最後の条件のすり合わせで、英語の学習時間と仕事の時間の配分を相談し、自分の目的に合う形にしてもらいました。
海外就職の前に準備しておくこと
英語は、あればあるほどいい
面接で英語が問われなかったとはいえ、英語力はやはり、あればあるほど有利です。
現地に行くと、仕事でも生活でも、人と直接コミュニケーションを取る機会が一気に増えます。そのときに少しでも話せるかどうかで、最初の数か月の過ごしやすさがまったく違います。
私は日本にいたころから、オンライン英会話でちょくちょく英語の勉強をしていました。本格的に話せるレベルではありませんでしたが、まったくのゼロで行くよりは、ずっとよかったと感じています。今はオンライン英会話に加えて、AIを相手に英会話の練習もできます。渡航前の数か月でも、毎日少しずつ続けておくのがおすすめです。
そのほかに準備しておきたいこと
英語以外にも、渡航前に確認しておきたいことがあります。
- 働く目的と期間を決める:何を身につけたいのか、何年くらいいるつもりなのかを先に決めておく
- ビザや手続きの確認:働くために必要なビザや書類は国によって違うので、会社に確認しながら早めに準備する
- 生活費の見積もり:インターンや現地採用では、日本より収入が下がることもある。数か月分の生活費の余裕を持っておく
- 帰国後のキャリアも少し考えておく:海外での経験を、帰国後や次の仕事でどう活かすかをイメージしておくと、現地での過ごし方が変わる
ケーススタディ:勢いだけで渡航したAさん
ここで、よくあるパターンを2つ紹介します。実在の人物ではなく、海外就職で起きやすい流れをまとめたものです。
Aさんは、「とにかく海外で働いてみたい」という気持ちで、条件もあまり確認せずに渡航しました。最初の数か月は、新しい環境が刺激的で楽しく過ごせました。
ところが、仕事に慣れてくると、「自分は何のためにここにいるんだろう」と感じるようになります。身につけたいスキルも、帰国後のイメージもなかったため、毎日がなんとなく過ぎていきました。結局Aさんは、1年ほどで、特に手応えのないまま帰国することになりました。
ケーススタディ:目的と期間を決めて渡航したBさん
Bさんは、渡航前に「2年で英語をビジネスで使えるレベルにして、現地でのマーケティング経験を積む」と目的と期間を決めました。会社選びも、その目的に合うかどうかで判断しました。
現地では、仕事のあとも英語の勉強を続け、休日は現地の人や日本人コミュニティの集まりに顔を出しました。2年後、Bさんは英語と海外での実務経験という2つの武器を手に、次のキャリアに進むことができました。
2人の違いは、英語力や運ではありません。渡航する前に、目的と期間を決めていたかどうかです。
採用する側から見た「海外で活躍する日本人」

今は私自身が、採用をする側にいます。その立場から見て、海外で活躍できる人とそうでない人の違いは、大きく2つあると感じています。
明確な目標があるかどうか
一番大きな違いは、明確な目標があるかどうかです。
実はこれは、海外でも日本でも変わりません。仕事で活躍する人に共通しているのは、「ここで何を得たいのか」「自分がどうなりたいのか」がはっきりしていることです。
ただ、海外ではその差がより大きく出ます。日本とは違う刺激を受けながら生活する中で、目標がある人は、その刺激を全部成長の材料に変えていきます。逆に、「海外で働いてみたい」というだけで来た人は、環境の変化に流されて、なかなか活躍まで届かないことが多いです。
現地のコミュニティに入っていけるか
もう一つは、現地のコミュニティにしっかり入っていけるかです。
フィリピンであれば、フィリピン人の同僚や友人とのネットワークを広げること。現地の日本人コミュニティにも顔を出して、人脈を広げること。こうした人とのつながりは、仕事のチャンスにも、生活の支えにもなります。
日本人同士だけで固まらず、かといって日本人を避けすぎることもなく、いろいろな人と関係を作っていける人は、海外でぐんぐん伸びていきます。
最初から大きな輪に入る必要はありません。同僚とランチに行く、現地のイベントに一度顔を出してみる。そうした小さな一歩の積み重ねが、気づけば仕事でも生活でも頼れるつながりになっていきます。
海外就職のリアル

最後に、海外で働くことのリアルな部分もお伝えしておきます。
日本の「当たり前」は通用しない
正直に言うと、私はかなりポジティブな性格なので、「大変だった」と感じたことはあまりありません。ただ、日本の常識が通用しない場面はたくさんあります。
一番わかりやすいのは、時間に対する感覚です。日本人は時間にとても正確ですが、フィリピンでは、食事や集合の時間に遅れてくるのは珍しいことではありません。ここで日本の感覚のままイライラしていると、毎日がしんどくなってしまいます。大事なのは、日本の当たり前を持ち込まないことです。
虫と衛生環境
フィリピンの場合、虫が苦手な人は少し覚悟が必要です。ハエが多かったり、大きなゴキブリやクモ、ヤモリが出たりします。衛生環境は、日本と比べるとどうしても見劣りします。私は虫が平気な方なので問題ありませんでしたが、苦手な人にとっては、仕事より手ごわい相手になるかもしれません。
現金がまだまだ必要
クレジットカードが使えるお店も増えていますが、日本ほどキャッシュレス決済は広まっていません。現金を持ち歩く場面は、日本よりずっと多いと思っておいた方がいいでしょう。
こうした違いは、「大変」というより「違う」だけです。違いを楽しめる人ほど、海外生活は充実します。セブ島で事業を立ち上げたときの話は、「未経験でフィリピンに渡って、マーケティング事業を一人で立ち上げた話」でも書いています。転職活動の進め方全般については、「転職エージェントの使い方」もあわせて読んでみてください。
まとめ:今日やること
未経験からの海外就職は、英語や経験がなくても十分に目指せます。大事なのは、入りやすい場所を選ぶことと、何のために行くのかをはっきりさせることです。
今日から、次のことをやってみてください。
- 「海外で何を身につけたいか」と「何年くらい行くか」を一文ずつ書き出す
- 働いてみたい国や都市の求人サイトを1つ見つけて、自分の職種で検索してみる
- 「インターン」「語学学習あり」などの条件で、未経験でも入れる求人がないか探す
- オンライン英会話か英語学習アプリを、今日から1日15分だけ始める
- 行きたい国の日本人コミュニティや、現地で働く人の発信を1つフォローする
海外で働くことは、特別な人だけのものではありません。目的さえ決まれば、最初の一歩は、思っているよりずっと小さくて大丈夫です。

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